5歳から11歳に対する新型コロナワクチンはどうすべきか。

5歳から11歳に対する新型コロナワクチンはどうすべきか。

こんにちは。くれはキッズクリニックの草開です。

本日、5歳から11歳までのお子さんに対してもファイザー社製の新型コロナワクチンが有効であるというニュースが報じられました(https://news.yahoo.co.jp/articles/225ef3610768564105ad8d2fe69172fbcb070547)。

そこで、ファイザー社のプレスリリースを確認し、これから検討すべきポイントについてまとめました。
現時点で明快な答えがある内容ではありませんので、皆さんの考えるきっかけになればと思います。

まず、ファイザー社のホームページ(https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-and-biontech-announce-positive-topline-results)の概要です。

生後6カ月から11歳までの小児を対象とした第2/3相試験のデータをまとめた中で、5歳から11歳の2,268人について述べています。

5歳から11歳のお子さんは、新型コロナワクチンを10μgで2回の接種を受けました。
この試験では、新型コロナウイルスの中和抗体の幾何平均抗体価(GMT)が1,197.6(95%信頼区間[CI],1106.1,1296.6)となり、2回目の投与から1カ月後に強い免疫反応が認められました。
これは、今回の解析で対照群とした、30μgを2回接種した16~25歳の参加者のGMT 1146.5(95%CI:1045.5,1257.2)と比較しても見劣りしませんでした。さらに、新型コロナワクチンの忍容性は良好で、副反応も16歳から25歳の参加者で観察されたものと概ね同等と報告されています。

要するに、子どもに少ない量のワクチンを接種して、大人と同じくらいの抗体ができたということですね。
ただ、発症率や、入院率、死亡率、ワクチンの副反応がどれくらい出たかについては記載はありません。
これらの医学的な裏付けは、内容をしっかり確認された上でこれから論文が出てくるかと思いますので、この報道のみでお子さんへのワクチン接種をするべきとは結論付けられませんのでご注意ください。

重要な点は、子どもたちにこのワクチンを打つべきか、そうでないかですね。
ファイザー社はこの冬にもアメリカで5歳から11歳までのお子さんへのワクチン接種を可能にし、2-5歳や生後半年から2歳までの試験結果も今年の冬には明らかにする予定としています。

ただ、11歳未満のお子さんについても、ワクチンを接種して新型コロナウイルスから守るべきなのでしょうか。
自然感染のリスクと、ワクチンのリスクを天秤にかけて、保護者として納得できる判断をしたいですね。

判断材料の一つとして、アメリカでの週間の年齢別死亡数グラフ(https://www.cdc.gov/nchs/nvss/vsrr/covid_weekly/index.htm)をお示しします。

子どもの死亡数はけた違いに少ないことがわかります。

もちろん、Long COVIDといった後遺症が長引く場合も報告されていますので、死亡数だけで打つ必要が乏しいとも言い切れませんが、アメリカではこのような状況を踏まえたうえで、ワクチン接種が進んでゆくことと思われます。

なので、日本の11歳未満のお子さんたちに新型コロナワクチン接種を行った方が良いかどうかは海外での結果を待ってで良いのではないでしょうか。

ファイザー社の治験の参加人数も、2268人ではやや少なく、稀な副反応が今後見つかってくる可能性も否めません。

大切なことは、社会としてこどものコロナウイルス感染をどう捉えるかということでしょう。高齢者のワクチン接種が十分すすんできたので、そろそろ普通に給食食べて、歌を歌って、密になって遊んでも大丈夫と言ってあげたいですね・・・。